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俺の必死な抗議により一人称はなんとか『俺』でいいことになった。これ以上俺に恥をかかさないでいただきたい。
スクロールする景色は止まり、俺は自転車から降りた。我が家に到着したわけだ。
「さてと、家に入りましょうね」
「待って、待ってください」
俺が止めようとすると杏里さんは俺の顔を笑顔で見た。
「敬語は無しって言ったでしょ? 言うことを聞かない裕君にはおしおきしちゃうよ?」
嗚呼、女の人の笑顔ってなんでこんなに怖いんだろう。これは危機に関わるような気がしてならない。
「ご、ごめん。でもちょっと待ってほしくて」
「僕に抱かれたいのかな? 僕はいつでも大歓迎だけど」
そうですか? それでは遠慮なく。なぁんて展開に移行すると思うなよ、チクショー。
問題は別の点にある。
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