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なんという偶然、最悪のタイミング。今の俺は銃を向けられて動けないような感じになっている。
「ただいまー、帰りましたー」
何も分かってくれない杏里さん。そんなことしたら自殺行為じゃないですか。
何者かが玄関に向かってきた。母さんか紫音か。どっちにしろ俺の身は危うい。
俺は杏里さんの後ろに隠れた。実際は隠れ切れていないけれども。バレたくなかった。
「もー、お姉ちゃん、そろそろ帰って来なよ。偽ってまで裕ちゃんの家に泊まることもないと思うけど」
「べーっだ。僕は僕のやりたいようにするんだ」
足音は紫音のものだった。話を聞く限り杏里さんの自己判断だったみたいだ。なぜかため息が漏れた。
それでも俺の家に泊まりに来た理由は一体……
「ん? お姉ちゃん、その子は?」
紫音が俺に向けて指を差す。しまった、見付かった。
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