憂鬱、ちっちゃな少年

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「ああ、この子はね」 俺は杏里さんの服を引っ張った。不思議そうに覗き込んでくるのも無理はない。 しかしバレてしまうのが嫌だった。何をされてしまうか分からないから。アイコンタクトで意思を伝えた。 「僕の知り合いの男の子。人見知りだからあまり刺激しないであげてね」 「ふぅん、ちょっと顔を見せてもらいたいなぁ」 バーロ、誰が見せるかよ。 杏里さんはちゃんと空気を読んでくれた。ありがたい。 「お姉ちゃん、裕ちゃん知らない? 元はと言えば裕ちゃんに用事があって来たんだけど」 「あははっ、知らないなぁ」 「本当に?」 「ほほ本当に」 「……怪しい」 杏里さんはちらちらと俺に視線を送ってくる。助けを求めているようだがどうしようもない。 そんなに動揺してると怪しまれるのも当然だ。
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