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「い、痛い……」
「ごめんね、裕君。やりすぎちゃった」
頬がジンジンする。熱を帯びたような熱さが感じられる。
長時間引っ張り続けられていたから当然痛いわけであって。俺涙目。
突然背後から肩を叩かれた。振り向き見上げるとポーカーフェイスな澪が立っていた。
こいつの表情、怒ってるのかキレてるのかどっちだか分からないんだよね。あ、どっちも一緒か。
まぁいつものこと。長らく付き合えば多少は気持ちも感じ取れるようになる。
おそらく今の澪は怒っていない。多分。
「杏里お姉さま、少しだけこれを借りてもよろしいですか?」
おい、こら。これって言うな。
「僕だけの裕君じゃないし。構わないよ」
「ありがとうございます。ほれ、こっちに来なさい」
澪は俺の手を掴むとすたすたと歩き始めた。
抵抗することなくただただ着いていくだけだ。
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