願い、おにいちゃん

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「ここだ」 俺が連れてこられた場所は何やら一室の前。 今の俺ではドアノブにも手が届くか届かないくらい。背が低いのがここまで不便なものとは。 「入りなよ」 珍しく澪が優しい声で言葉を発しドアを開けた。部屋の中が明らかとなった。 部屋中に多数のぬいぐるみが置いてある。ベッドも何故か新鮮に見えて埃や塵も何も落ちていないような清潔感を覚える。 おそらく誰かの部屋。 「ここさ、澪の部屋か?」 ゆっくりと頷く。でもそれはもどかしいように見えた。 俺にキツイ澪でもやはり女の子、かわいらしい一面もある。 おとなしくしてれば普通にかわいいと思う。しかし俺だけに対する怒りはどういうことなのか。 窓から吹き込むピンク色の風が俺の鼻を刺激した。 うむ、いい匂いだ。
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