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「なんだ、そんなことならいつでも言えよ。すぐに付き合ってやるからさ」
「うん、感謝する」
俺には澪が微笑んだように見えた。決して気のせいなんかじゃない。
俺はこのメルヘンチックな部屋の中で女の子を見た。
「でもそんな体で言われてもグッと来ないよなぁ」
先程の微笑みは、あざけ笑うようなものに変わる。
「しっ失敬な!」
「本当だろ。子どもに説得されたって心には届かないってやつだ」
「くっ」
否定はできない。自分で言ってて勢いが感じられないからだ。
「まぁいいや。出発は明日、朝十時に駅前集合な」
「今日じゃなかったのか」
「今日と思っていたのか。実に哀れな奴だ。今は準備もできていないし内緒で行きたいからな」
所々トゲのある言葉だけど気にしないことにしよう。
「それでは決定。絶対忘れるなよ」
明日、必ず行かなければならない。そんな気がした。
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