願い、おにいちゃん

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しばらく経つと俺の腹の虫が元気よく鳴り出した。反射的に腹を押さえる。 俺だって人間だ。腹くらい減る。時間もちょうど十二時を回ったくらいでちょうどいい。 「おーい、澪」 あれから澪は満足そうに店内を歩いていた。こいつの目には動物以外映ってなかっただろうな。 名前を呼んでも反応なし。どうしたらいいものか。 「澪子ちゃーん、俺の話を聞いてくれー」 もちろん冗談半分からかいマックス。ふざけているがこれならさすがに気付くだろう。 「おにいちゃん?」 思わぬ発言とともに澪が辺りを見回した。その目はどこか切なそうだった。 「えっ?」 「あっ、お前か。おにいちゃんと思ってしまったのは私の勘違いか……」 俺を見て澪はガックリと肩を落とした。珍しく澪が小さく見える。 『おにいちゃん』 琉李子さんと二人姉妹の澪にとって兄はいない。 しかし俺はこの『おにいちゃん』の意味が分からなくなかった。以前澪の過去話は聞いた。 昔、琉李子さんと澪と一緒に遊んでいたという『おにいちゃん』的存在。 リョウさんだ。
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