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澪の寂しそうな表情。琉李子さんから話は全て聞かせてもらった。
澪にとっては忘れることの出来ないものでありトラウマのような過去。
俺の冗談弾みな言葉が普段俺を見下して楽しむ澪をここまで意気消沈させてしまったのか。
「おいおい、どうしたんだちっこいの、元気ないぞ?」
少し不満そうな顔をして俺を見てきた。
「ああ、ちょっとな」
「もしかして腹減ったんだろ」
確かに。考えていたことは違うけど腹の虫を必死に抑えているのは確かだ。
俺は一度首を縦に振った。
「分かったよ。動物達といるのも惜しいけど時間も時間だし。どっか食べに行くか」
いつも通り変わらない澪。体を翻し、ゆっくりと歩き出した。
俺にはどうしてか彼女の背中が小さく見えた。理由はない。
俺は澪にとっての何者なのだろうか。
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