21717人が本棚に入れています
本棚に追加
/526ページ
先ほど引っ掛かっていた(興味を持ったというべきか)ことを聞くのを忘れていた。
「澪、お前動物好きなのか?」
カレーを食べ終えた後のスプーンを皿の上に優しく置いて顔を上げた。
「ああ、少なくともお前よりかはな」
まったく、失礼な所は相変わらずだ。これに慣れてしまった俺もどうかと思う。
「なら飼っちゃえばいいじゃん。近くにいた方がもっと楽しめるだろ」
「私もよく考えてるよ。でも、無理なものは無理なんだ」
澪は切なそうな顔をする。何か特別な思いがあるのではないだろうか。
「その、アレだ。お姉が動物嫌いなんだよ」
……ん?
「琉李子さんが?」
「そうだ。小学校辺りの頃、私の友達が子犬を連れてきてくれたんだ。その時なぜかお姉は恥ずかしいくらい泣き出したわけだ」
ちょっぴりシリアスな展開になると思っていたがユニークなお話となった。
それにしても琉李子さんが動物嫌いなんてねぇ。想像もつかないんだが。
「そこで私は決意したんだ。私が一人暮らしとなったら絶対に猫を飼うと」
えらく小さな決意だ。
最初のコメントを投稿しよう!