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「帰るか」
「えっ?」
澪の突然な発言に俺は素直に驚いた。
「そこまで驚くなよ。本当はもっと回りたいけど雨の中で動き回るのは嫌だろ?」
確かに。雨を好まない俺にとってこの意見は賛成以外のなんでもない。
「そうだな。澪には悪いけど家に戻ろう」
「よし、こっち来いよ」
澪が手招きをする。俺も濡れたくないわけだし吸い込まれるようにして澪の隣にお邪魔させてもらった。
俺達は歩き出す。ぱちゃぱちゃと音を立てながら目的地、澪の家へ戻る。
にしてもこの澪、ノリノリである。先ほどから笑顔が絶えない。
「なぁ澪、嬉しいことでもあるのか?」
当然尋ねる。降り注ぐ雨を背景とした澪はなんだか幻想的だった。
「ああ、私はこの時間が幸せなんだよ」
この時間……雨が降ってて傘をさしながら帰宅中ということか?
俺には理解し難いんだがな。
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