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「おにいちゃんがね、教えてくれたんだよ。傘は私達の守り神だってね」
楽しそうに話を進める。守り神……か、確かにそうかもしれないな。
おにいちゃん……
「澪、ちょっと聞いていいか?」
「おう、なんでもこいよ」
「リョウさんって、どんな人だった?」
水溜りを踏む音が消えて雨の音だけが耳に入る。澪はうつ向いて立ち止まってしまった。
やはり聞いたらいけなかったみたいだ。俺ってバカだ、人の気持ちも分からない本当のバカだよ。
「あ、悪い。俺」
「いいよ」
俺の心配とは裏腹に澪は俺を見てわずかに微笑んでいた。
「私はもうふっきれてるから。悲しんでも何も起こらない、私はおにいちゃんが帰ってくるのを信じるだけだからさ」
強い娘だ。この時ばかりは澪がとても大きく見えた。
「それに私のおにいちゃんはもう一人いるしな」
「もう一人?」
リョウさんの他にまだお兄さんがいるのか?
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