風物詩、夏祭り

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「それにしても元に戻る方法がキスするだけってどういうことですか!?」 「なんだ、キスだけじゃ物足りないというのか?」 「いえ、そういうわけじゃないですけど」 琉李子さんは優しく言ったようだが怪しく微笑んでいた。意地悪琉李子さん相手だと泣きたくなる。 伸ばしてしまったが元に戻る方法とは単に女の子とキスをすること。当然男とするはずがない、俺は健全な高校生だ。 琉李子さん情報によれば口の中の酵素が混ざり合って解毒薬へとどうとか。早い話、キスしとけば直るよってことだ。 これがまた恥ずかしいわけで。簡単に実行できるものではないのは分かるはず。 「なんなら私がお相手しようか?」 「え、ちょっ、あ……と」 「ふふっ、焦る少年もかわいいな。冗談だ、君にはふさわしい人がいる」 回避できたことの安心感、ちょっぴり残念感が五分五分だ。 ふさわしい人って誰だろう。 「まぁ早めに決断しないと。夏休み明けにこの姿だったらどうしようもないぞ」 「そうですね」 俺と琉李子さんはほぼ同じタイミングで笑みを溢した。
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