風物詩、夏祭り

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「おっ、杏里のトコじゃお祭りがあるの?」 「そだよ。琉李子も来る?」 杏里さんの問いかけに琉李子さんはわずかに首を傾ける。 「うーん、わからないね、用事あるかもしれないし」 「なぁんだ、残念だぁ」 「その代わり杏里には少年がいるでしょ? 一緒に楽しんできなさいな」 どうしてだか琉李子さんが気をつかっているとしか思えないんだけど。 「よし、僕琉李子の分まで楽しむよ」 遠慮も知らない遊び人、杏里さん。ホントに遊びのこととなると無邪気だ。 そこがまた魅了できるポイントのひとつである。 「裕君、明日のお祭り楽しみだね」 やはり杏里さんの笑顔を越すものはない。プラスして顔の近さで自然と顔が熱くなる。 心臓の鼓動が高鳴るのもよくわかる。この場に及んで緊張か何かか? ……違う。これはまた別の感情。そして他の人では感じることのない何か。 答えは出るのだろうか。
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