風物詩、夏祭り

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時は満ちた。八月二十六日、毎年恒例の夏祭りが俺の街で開催される。 それにしてももう夏休みも終わりに近付いているのか。寂しいものだ。 日も落ちてきた頃合い。今から夜中にかけてまで楽しい夜が始まる。 屋台は意外に豊富でなかなか飽きないもの。リンゴ飴や大判焼きはもちろんクレープやたこ焼きなどなど。食べ物ばかりではないか。 今年は予想もつかないイベントが起きるらしい。事前に予告されてないと何だか恐ろしい。 話によれば今日は杏里さんと二人きりらしいから盛大に楽しむとしよう。こんな体だけど。 暗くなりつつも若干暖かい風が吹き付ける中、俺は家の前で立っていた。 杏里さんはわざわざ俺を迎えに来てくれるらしい。俺が行った方が遠回りにならなくて済むのに。 遠慮はしたけど杏里さんがどうしてもということで和解。俺は今か今かと待ちわびていた。 「裕くーん!」 左前方から聞き慣れた声が聞こえた。
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