風物詩、夏祭り

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会場はすでに賑わっていた。人が溢れんばかりに密集していた。 ここの祭りは有名らしく毎年の人の多さには驚かされる。小学生の頃どれだけ友達とはぐれてしまったことか。 まだ薄暗い程度だが、全体的にライトアップされて眩しい眩しい。 屋台もたくさん立ち並んでおりこれはまた祭りって雰囲気がよく出ている。さすが夏の風物詩。 さらにこの祭りには驚くべき(俺自身が驚いたことはないが)イベントが隠されている。それは時が来るまで待つとしようか。 「さて、どこに行き、ってあるぇ?」 一緒にここまでやってきた杏里さんが忽然と姿を消した? 魅力のある浴衣姿の女の人は俺の視界には存在しない。 どこ行ったんだろう、杏里さんが迷子になることはないと思うけど。 ……いや、あの人のことだ。もしかしたらってのがあるかもしれない。人波にさらわれたと考えることも出来そうだ。 しゃーねぇ、助けに行くか。 小さな体で大波に自爆特攻しようとしたところで、 「ゆっうくーん」 呼び止められた。
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