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「杏里さん、急にいなくなるから今から探しに行こうと思ってたとこでしたよ」
「じゃじゃーん、たこ焼きー!」
俺の言葉は耳に届いていないだろう。杏里さんの手にはたこ焼き(八個入り)があった。
今の間で買ってきたのか。なんて早さ。まるですでに何を食べるか、どこにどの店があるか知っているかのようだ。
「いっただきまーす」
笑顔のまま爪楊枝をたこ焼きにさしこんで口に運んだ。
「場所移動しません? ここじゃ人も多くて」
「おっいしー!」
聞いてねぇや。何を言っても無駄みたいだな。
祭りということもあって、俺も腹をすかせてここにやってきた。
それはそれは美味しそうにたこ焼きを頬張る杏里さんを見ていると食べたいという衝動が込み上げてくる。
譲ってもらうか。しかしせっかくのたこ焼きを貰うわけにもいかないのでは……
いかん、よだれが。
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