風物詩、夏祭り

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時間が経つにつれて人も次第に多くなってきた。辺りは完全に暗くなったが、無数の灯りが全てを照らす。 俺と杏里さんは相変わらず手を繋いだまま人混みを歩いていく。今のこの状況なら俺が流されかねん。 端から見れば「姉弟」ということになるだろう。ちぇっ、なんだか不満だ。 どうせなら体は大きい方がよかったなと思いつつ俺達は進み続ける。 そして次の目的地にたどり着いた。 「ふっわふわー」 杏里さんが食しているのは見た目が綿のようで雲みたいに軽く飛んでいきそうなもの。 そう、綿菓子だ。誰もが見たこともあり食べたこともあるだろう。 人混みはどうしても苦手なので端によってなるべく人のいない所に移動した。 「美味しいですか?」 「うん、僕幸せだよぉ」 満面の笑みを見せながら綿菓子を食べるその姿はどこかかわいらしかった。子どものようだ。 それに杏里さんはすごく美味しそうに食べるのでこちらも食べたい感が襲ってくる。
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