風物詩、夏祭り

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「さて、次は何を食べようかな?」 俺は無事解放され、再び仲良く手を繋ぎながら会場を探索していた。 引っ張られた余韻はまだ残っている。腫れたみたいにジンジンと痛みを感じる。 そして俺の目に映る光景は人、人、人。辺りを見回しても人だらけ。 なんとか杏里さんとは一緒だけど一度離れてしまうと俺が迷子になる可能性もある。 厳重な準備を怠らないようにしよう。 「……ってまだ食べるんですか?」 「うん。僕にとってお祭りは食べ物の宝庫なんだよ」 確かに様々な種類の食べ物は存在するけど宝庫とまでは…… 「それとも裕君は僕と一緒なのが嫌なの?」 杏里さんの目から今にも涙が溢れそうだった。泣かすわけにはいかない。 「滅相もございません。杏里さんと一緒にいれることだけでも幸せですよ」 「あ、う、うん……」 とっさに杏里さんは俺から目をそらす。何かあったのかな?
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