風物詩、夏祭り

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ドンッ! 「うわっ」 「きゃっ!」 あまりの人混みにより人との接触が多くなる。体の小さな俺にとってかなり体力を消費してしまう。 「いてて……杏里さん?」 右手にあった暖かな感触は消え、横にいた杏里さんまでもが姿を消した。 「杏里さーん、どこに……うわっ!」 この体では人の流れには逆らえない。俺はあっさりとその場から流されてしまった。 暑い。とにかく暑い。夜とはいえこの人の多さ。人口密度は言うまでもなく高い。 なんとか流れついた先は…… 「どこだ、ここ?」 祭会場で間違いはないんだが完璧に居場所が分からなくなった。 俺は今からどうすればいい? このまま人混みに圧倒されたままでいるのか? 違う。俺は探さなければならない人がいる。おそらくその人も俺を探しているかもしれない。 俺は引き返すことに決めた。
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