21717人が本棚に入れています
本棚に追加
/526ページ
ドンッ!
「うわっ」
「きゃっ!」
あまりの人混みにより人との接触が多くなる。体の小さな俺にとってかなり体力を消費してしまう。
「いてて……杏里さん?」
右手にあった暖かな感触は消え、横にいた杏里さんまでもが姿を消した。
「杏里さーん、どこに……うわっ!」
この体では人の流れには逆らえない。俺はあっさりとその場から流されてしまった。
暑い。とにかく暑い。夜とはいえこの人の多さ。人口密度は言うまでもなく高い。
なんとか流れついた先は……
「どこだ、ここ?」
祭会場で間違いはないんだが完璧に居場所が分からなくなった。
俺は今からどうすればいい? このまま人混みに圧倒されたままでいるのか?
違う。俺は探さなければならない人がいる。おそらくその人も俺を探しているかもしれない。
俺は引き返すことに決めた。
最初のコメントを投稿しよう!