風物詩、夏祭り

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――と、勢いよく決意してみたもののどこから攻めたらいいのか。 果敢に突っ込むのも自殺行為だし、かといってここにずっといるのもバカらしい。 うーん、悩む。 「ん? お前……」 俺の横で誰かの声が聞こえた。一瞬女の声と思ったが違う。俺はこいつを知っている。 なるべく聞いて聞かぬ振りをしよう。こいつに関わると厄介だ。 「おい、オイラはお前を見たことがある」 「うおっ! 朔真、お前いつの間に!?」 気付かぬ内にこいつは俺の前に現れた。以前琉李子さん経由で知り合った同級生の朔真だ。 今まで登場が無かったのは仕様である。 「オイラの名前が分かる? やっぱお前――」 朔真はマジマジと俺の顔を見る。反射的に顔をそらす俺。 現在俺の体が小さくなったのを知ってるのは杏里さんや琉李子さんなど限られた人達だ。 これ以上被害を広げたくない(俺の人権的な意味で)。 「――城石裕大だろ?」 ちょ、マジ?
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