風物詩、夏祭り

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「朔真、落ち着いて聞け。俺は」 「城石裕大の分身か」 「だから聞けって」 こいつ、すでに分かっているんじゃないだろうか? 俺をからかっているような気がする。 ケラケラ笑いながら俺と対峙する。なんだ、こいつ。 「率直に言う。俺は城石裕大本人だ」 「……なんだってー!?」 頭を抱え驚愕の表情を見せる。そして地に両膝をついた。 「これが……これがオイラのライバルなんて……」 ライバルの件は置いておく。いい加減このアホさには慣れた。 朔真の目からは滝のような涙がダバダバと流れる。水溜まりが出来てしまうほどだ。 ……なんだ、こいつ。 「朔真、お前バカだろ?」 「ぬおー!」 まだ泣いている。そんなに俺が小さくなってショックか。 嬉しいと思っていいのか悪いと思うべきなのか。 朔真をなだめるまでかなり時間がかかった。
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