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ダメだ。いくら動き回っても限度がある。
声で呼ぼうにも騒がしくて声が届くわけでもないし、近くにいる人からは冷たい視線を浴びてしまうだろう。それだけは避けたい。
そして人の多さにうんざりしてくる頃合い。毎年こんなに溢れかえるくらい人がいたっけ?
着いてくると言った朔真もいなくなってるしどうしたものか。
「城石裕大、ジュース買ってきたぜ」
急にいなくなり急に現れる。朔真よ、これが理由か。
「朔真、何を呑気に」
「いらねぇの?」
「……貰っとく」
朔真からジュースを受け取り、喉を潤した。うめぇ。
しかし朔真の表情。これは女の子に間違えられて当然かもしれない。
男に狙われないことを少なからず願っとく。
「なぁ城石裕大、慌てて行動してもいいことないぞ」
朔真が真っ直ぐに俺を見据えて言った。
「俺、慌ててるか?」
「うん。姉ちゃんが心配なのはよく分かるけどまずは落ち着いて。平常心平常心」
ほぅ、朔真にしては珍しいこと言うじゃない。
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