風物詩、夏祭り

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「ちっ、ガキが調子に乗ってんじゃねぇぞ」 一人のリーダー格の男が大きな舌打ちをした。体格差からしてかなりの威圧感が俺を襲う。 「俺達はこの女と楽しむんだ。お前みたいな糞ガキは後ろの嬢ちゃんと幼稚園ごっこでもしてろ」 後ろ? 誰かいるのか? 振り向いて目に映ったのは恐怖で体を震わせて今にも泣きそうな表情で俺にしがみつく朔真だった。 「城石裕大、こいつら誰だよぉ」 この男、朔真を女と見間違えたのか。初見の奴には仕方ないかもしれない。 俺は幼児ではない。しかし今はそれどころじゃない。助ける、絶対に! 「うるせーよ、童貞共が。いい年こいてナンパか? 聞いて呆れるぜ」 「このガキッ! 言わせておけば!」 リーダー格の男に触発されたか残りの二人も俺の前に立ちはだかった。 相手は三人。元の体なら喧嘩覚悟で挑めば勝利することができるかもしれない。 しかし今の俺は実に小学生並の体型。そして後ろには手負いの朔真。 どうしたらこの場を打開できる?
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