風物詩、夏祭り

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「で、でも琉李子さんがここに?」 「そりゃ当然お祭りを楽しみに来ただけだよ」 えっへんと胸を張る。そこまで自信満々に言わなくても。 琉李子さんの服装はそこらで見る女性達とは違い、ジーパンに半袖Tシャツという完全な私服。浴衣は着ていないみたいだ。 琉李子さんが着れば大人らしさが出てかっこいいと思うのだが。 「それより、朔真っ!」 「ひぃっ!」 間抜けな声だなぁ。 「しばらく見てなかったけど、まーた少年に迷惑かけたんだな」 「違う、違うッスよ琉李子さん。な、なあ、城石裕大?」 朔真の表情、おそらく俺に助けを求めてるんだな。そうと分かれば…… 「琉李子さん、朔真が俺をいじめました。傷付きました」 完璧棒読み。朔真は餌に飢える金魚のように口をパクパクさせている。 「朔真、覚悟は出来てるな?」 「ギャーッス!」 その後、朔真という少年の姿を見た者はいない。
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