風物詩、夏祭り

33/52

21717人が本棚に入れています
本棚に追加
/526ページ
今澪に俺の思ったことを読まれたような気がするけど気のせいだよな。 「澪、琉李子さんのこと、詳しく教えてくれよ」 「うん、いいぞ」 澪は何かを思い出すかのように繋げた。 「あれは、おにいちゃんと会うちょっと前だったかな。私が生意気だって年上の奴らからいじめを受けそうになったんだ」 「まさにその通りだな」 「黙って聞け」 げんこつをくらった。頭がズキズキする。 「そしたらそこにお姉がやってきてさ。驚け、十人近くいた男達を数分足らずで仕留めたんだ」 俺はキョトンと目を見開く。 「その日から一部の男達の間ではお姉は恐れられているらしい。これがいいことか悪いことかは分からないけど」 意外だ。この一言しか頭に浮かばない。 「お姉は言った、私は大事な妹だ、って。杏里お姉様もお姉の大事な親友らしいから本気になったのかもな」 この言葉を聞いて納得した。琉李子さんは仲間思いのいい人だ。 友を守るために本気になれる琉李子さんには天晴れだ。
/526ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21717人が本棚に入れています
本棚に追加