風物詩、夏祭り

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「杏里お姉さま、そんなバカは放っておいて一緒に屋台を回りましょう」 「う、うん」 空気の読める澪が杏里さんを助けるように朔真との間に入った。 「澪子ー、オイラの邪魔をふひぃっ!」 抵抗しようとした朔真が間抜けな声をあげる。琉李子さんが頬をつねり、これでもかというくらい引っ張っていた。 琉李子さんって朔真の前では鬼になるみたいだ。 「お前は何度も何度も。多分わざとじゃないんだろうけど少しは控えなさい」 「いひゃい、いひゃいっふよ!」 今までありがとう朔真。 「お兄も行こう。お腹すいたからもちろんお兄の奢りで」 異質な雰囲気が漂う。澪に奢らせたらとんでもないことになりそうな気がした。 「澪お姉ちゃん、僕に奢せるって言うの?」 少し子どもっぽくしてみた。これなら澪でも…… 「うん」 バッ、バカな……っ!
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