風物詩、夏祭り

38/52

21717人が本棚に入れています
本棚に追加
/526ページ
「うぅ……」 「杏里さん?」 「裕君きゃっわいいっ!」 いつぞやの悪夢再来。俺は再び杏里さんの腕に包まれた。 女性特有のいい匂い、肌に感じる柔らかな感覚。このままでは酔ってしまいそうだ。 自然と顔が赤くなるのがよく分かる。 「それでは出発しましょう」 若干不機嫌気味の澪が催促する。 「澪、本当に俺に金を」 「うるさい、拒否権はない」 うっはー、俺に自由はないんですか。 俺は両脇を抱えられて持ち上げられている。いわゆるだっこの強化バージョンだ。 背中に柔らかなものが常に当たっており、もう爆発しそうです…… 「お姉、お姉も行くよ」 「あー、はいはい。朔真、シャキッとしないと置いてくからね」 「お任せください、琉李子さん」 意味も分からず敬礼をする朔真。本当に意味が分からない。 俺達は五人という大人数(そうでもないかも)で回ることになった。
/526ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21717人が本棚に入れています
本棚に追加