風物詩、夏祭り

39/52

21717人が本棚に入れています
本棚に追加
/526ページ
それから先は悲惨なものだった。 杏里さんはいつも通りと変わらずだが澪の異常なまでのテンションの高さ。 「お兄、これ奢れ」 「……は?」 口は相変わらず悪いが表情を見れば何を考えてるかくらいはすぐ分かる。これが長らく接してきた結果だ。 一方朔真はというと、琉李子さんにずっと付き添われている。 「朔真、綿菓子いるか?」 「えっ!? 買ってくれるんスか?」 「冗談だ」 「笑えない冗談ッスね……」 仲良く話すというかいじられていると言っても過言ではない。 そんな俺達を見て笑みを見せる杏里さん。これを見て平和だな、と思った。 賑やかで、皆で笑いあって、楽しく過ごす。俺はこんな日々がいとおしい。 決して失いたくないものがここにある。いつまでも胸にしまっておきたい。 淡々と時間は経過していった。
/526ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21717人が本棚に入れています
本棚に追加