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「そろそろ花火が上がるね」
杏里さんは待ち詫びていたかのようにはしゃぎだす。そこでなぜ俺を抱く?
しかし、悪くない。
「うーん、やっぱ夏は花火だねぇ」
琉李子さんも自然と笑みが溢れている。花火こそ夏の風物詩。
「というわけで澪子、ちょっと私に付き合え」
「えー」
何の意図があるのか。澪はすごく不満そうな顔をする。
「ついでに朔真もだ」
「オイラついでっスか!?」
「なぜ私がこんな下等種族と一緒じゃなけりゃならん?」
「澪子、アンタもひどいッスね!」
俺は琉李子さんがニヤニヤするのが分かった。一体何を企んでいるのやら。
「少年よ」
俺の肩に手を置いて一言。
「頑張れよ」
何をですか?
「よし、行くぞ。朔真にたこ焼きを奢らせる」
「さすがお姉」
「うわあ! 琉李子さん鬼ッス!」
朔真は引きずられていってしまった。本当に哀れとしか言いようがない。
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