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「いやいや、ヒコヒコ、この世の中楽しんだ者勝ちだって。それに……、何かあってこその――GHQ。私たちの役目は、何かが起こったときに行動すること。ただの変人集団では終わらないぞっ!」
変人、という自覚はあったんだ、と一瞬思ったものの、俺も変人に含まれていることに少し不満を持った。
俺は、普通っぽいわけで。声には出さないけど。
「分かりました。もし、機会があったら協力します」
その言葉を最後に、木島はシャーペンを握り直して、再び勉強の作業を始めた。ガリガリ、ガリガリと。確実に勉強するときの擬音ではないと思うのは俺だけだろうか。
その木島から目線を逸らし、ほとり先輩のほうを向くと、ほとり先輩は雑誌を食い入るように見ていた。間違いなく、自称[変態]というのは的確。というか、ほとり先輩は女の人なのに、こんなエロ本を読んでいて楽しいのだろうかとたまに不思議に思う。
「……いやぁ、かっわいいなぁー。涎出そう……。このムッチムチ具合とかたまらないよねぇ」
「……………はぁ」
指の腹で、雑誌の中の女の人たちの体を撫でるようになぞっていく。その指遣いは、モザイクを入れたくなるくらいにいやらしく、不気味だった。
そういえば、ほとり先輩は自分で雑誌を買ったりしているらしいけど、店員は止めないのだろうか……?
「この子、少しアユに似てない? あ、そういえば今日はアユは来ないんだって。何でもホームパーティーとかなんとか。さすが、アユ。ホームパーティーかぁ。いいよね、そういうの。アユの家なら相当広いし、相当人が来るんだろうな。そうなったら、いろんなお嬢様みたいな子が参加する……。わ、私も参加したい ぞっ! ドレス姿の美人さんとか見て興奮したい抱きしめたい舐めたい頬ずりしたいっ! 性的な意味でいろいろしたいたっぷりどっぷりしたい! ああもう! テンション上がってきたーっ!」
「ほとり先輩落ち着いて」
「落ち着いてられないって! ちょっとホームパーティーに乱入してくる!」
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