弐 姫は三年の恩を三日で云々

2/21
前へ
/99ページ
次へ
 彼女はお姫様。  誰もが認めるお姫様。  それ故に、彼女は常に彼女の道を歩く。  誰よりも優雅に、誰にも邪魔されることなく。  赤松愛結はランボルギーニで学校まで執事に送り迎えしてもらっている。  それはもう、赤松は一目瞭然のお金持ちオーラを纏っているわけで。本人に聞かなくてもわかる。確認しなくても分かってしまう。人間として何もかもが違う、住む世界が違うということは、こんなにもイメージ的な意味で変わってしまうものなのかと感心してしまう。ただ、赤松は自分自身でその事実を理解していな い。そのあたりが、面白かったり、少しばかり腹が立ったりする。けれど、少なくとも決して届くことのない遥か高みから、見下されるような感じにされるよりかは何百倍もマシだとはいえるはずだ。明らかに偏見なのだけれど、どうしても金持ちというものは、一般人を馬鹿にしているような感じがしてしまう。パンがなければ、 どうのこうの。ある意味、その有名な言葉もさっぱりしたものがあるとは思う。確かに苛立つ言葉だけれど。でも、赤松の感じさせる金持ちのイメージとは異なる、赤松固有の特徴は、俺としては気に入っている。  赤松愛結はお姫様。GHQの切り札的存在。赤松がGHQにいる理由は、部活に参加していたいからということらしい。どうにも、親が学校では部活に入っておきなさい、と言っていたので何かの部活に入ろうと赤松は思った。それでも、運動部はついていけない、文化部の中にある部活にどっぷりと嵌まれそうにもな かったから、自由で楽しいこのGHQに入ったということ。俺は赤松から、そう聞いている。GHQの中では、俺と赤松は同じ学年で比較的話しやすいし、俺としては赤松がGHQにいてよかったと思う。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加