弐 姫は三年の恩を三日で云々

7/21
前へ
/99ページ
次へ
 そこで、俺の頭の中にあったパズルのピースのようなものが次々に連結、完成する――つまり、理解する。近衛がおかしいと言っていること、ほとり先輩が事件だといっていることが、完全に俺の中で整理される。 「……両方百点で……両方一位。これ程おかしなことはないってわけか。まるで、誰かが無理にでもその近衛でもない香村でもない、もう一人を一位にさせているように」 「ですわね」  赤松が赤いマジックペンに持ち替え、『重要!』とホワイトボードに書き込んだ。  『謎のテスト事件』が分かってきて、俺は多少事件に対しての興味が発生し始めた。どうして、こんなことが起こっているのか、もしこの事件が誰かの意図によるものだとしたら、それは何のために、誰が行動を起こしたのか、激しく気になってしまう。  赤松も、なにやら思うところがあるのか、難しい顔をしている。  GHQの公式活動、確かにそれは暇潰しかもしれない、けれどこの事件の解決は、無駄でもなければ無意味でもない。解決しなければならない事件、そんなような気がしてしまうわけで。 「彦坂君、確か天奈先輩は今日――」  赤松がそう言おうとしかけたとき、 「にゃほっす!」  ほとり先輩がガラリと保健室へと入ってきた。いつもと同じ、元気さを振り撒いて。タイミングぴったし。  ただ、いつもと違って、ほくほくしていた。ほくほくというのはつまり、熱を持っているというわけで。とても《変態》の匂いがする。それでも、一応期待を持って聞いてみる。 「ほとり先輩、どこに行ってたんですか? もしかして、事件のことを……?」
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加