壱 負け犬も歩けば云々

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 職員室から二階へと続く階段の踊り場の巨大掲示スペース、そこにはたくさんのポスターが貼られているわけだが、その中央に、目立つ色で雑に塗りたくられたポスターがある。部活の勧誘、演奏会のお知らせ、といったポスターとは完全に毛色の異なるものだ。さらに、目立つだけではなく内容は破茶滅茶。 こんな、ふざけた文章が書きなぐってあるだけのポスターを見かけたのは、夏休み前だった覚えがある。その時と全く同じポスターを目の前にして、俺は静かに回顧する。最初は何かの悪戯かと思ったものの、GHQの噂を何度か聞いてその存在のことを頭の片隅に置いていた。そんな変なものが存在する、といった感 じに。けれど、それは客観的なもので、主観的なものではなかった。一般論として、そんなわけのわからないものに参加するわけがない。GHQだなんて。マッカーサーかよ。  といっても、最終的に俺は嵐のように現れたほとり先輩に拉致されて、GHQの一員にされた。そんな馬鹿な。でも、間違いない事実なわけで。 G Going  H Home   Q Quickly  GHQ、つまり帰宅部という部活に参加させられた。活動する帰宅部。
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