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『お前、遅ぇしっ!』
『悪い悪い。思いがけず長くなった』
アキオのアパートの前で足踏みしてイライラしているクラに、柔らかく笑いかけながら、アキオはドアノブに鍵を差した
『木場が、横にいた男の子を知らねぇって言っててよー』
『は?木場は一人だったじゃんよ』
アキオはドアノブに手をかけたまま、動きを止めた
『木場は一人だった?』
クラはアキオの様子に少し驚きながらも
『あぁ。川っぷちにしゃがんでる木場にお前が駈けてったけど、一人で座ってたぜ?』
アキオはドアノブに手をかけたまま、微動だにせず、扉を見つめていた
― 木場もクラも、
あの男の子を見てない…―
『おい、早く中にいれろよ。夢ちゃんほっといてお前何してたんだよ』
苛立たしげにクラは足踏みした
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