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『そう、そのアレだ。昨日もホームレスが両指と手首を折られたらしい』
『ひでぇ…』
アキオは顔をしかめた
すっきりした鼻筋と切れ長の奥二重の目が、歪む
それにほんのつかの間見とれたクラは、思い出したようにまた歩きながら言った
『また、いきなり目隠しされて縛られ、折られたんだとよ』
『拷問だ』
『あぁ、気違いだ。生き地獄だよ』
『明日は我が身か？』
『アキオは逆に、犯人をのしちまうよ』
クラの言葉に、アキオは笑いながら腕に力瘤を作って叩いて見せた
クラはまた小さくため息をついて教室のドアを開けた
そして中を見ると、続けてため息をついて呟いた
『身近にも生き地獄あり』
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