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ミチオは少女をずっと観察していたかった。
しかし、せっかくの勉強熱心な少女に気持ち悪がられるのも嫌だったので、視線を自分の手元の本へと戻した。
(私は邪魔しないからゆっくり読んでいってくれたまえ)
ミチオは心の中で少女にそう声をかけた。
それから数人の客が出入りした。少女はその間も熱心に『人類の証明』を読んでいたようだが、結局何も買わずに店を出ていった。
それでもミチオは満足だった。ミチオも子供の時、欲しい本が買えず、本屋に毎日のように通って立ち読みしたものだ。
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