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パ―――――――っ!
クラクションの大音量が響き渡り、三人はハッと動きを止めた。
見れば、ホテルの前庭でいちゃつくカップルやら、門前の警備員やら、街中の浮浪者やら、とにかくそこら中の視線が三人の乗った車に集まっている。
「……」
カオルとニコが黙ったまま車を下りた。エジーディオもその後に続く。三人は通り中の視線から逃れるように、こそこそと車の陰に身を隠した。
物陰に逃げ込んだエジーディオは、カオルとニコの肩を、後ろから抱え込む。
「おい、てめぇら」
低い声で、耳元に囁いた。
「俺らが何しに来たか、ちゃんと覚えてるだろうな」
声音は静かだが、ドスがきいていた。掴まれた肩はちょっときしんでいる。
背後から伝わる怒りのオーラに、カオルとニコは身を縮めて明後日の方を向いた。
「……えーと……」
「…………泥棒、です」
ぼそぼそと小声で答える。そんな二人の頭に、エジーディオは容赦のない拳骨を見舞わせた。
「わかってんなら目立つ行動は控えろや、阿呆」
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