Act.1 三人の泥棒

14/43
前へ
/214ページ
次へ
   カオルはエジーディオとニコを見やって、ため息をつく。 「だから私はスーツを着て来いっていったのに」  エジーディオとニコは、己の身体を見下ろした。  エジーディオはどこぞの暴走族かと思われるような、革の上下にタンクトップ。  ニコは、ちょっとそこまで日用品を買いに出た時のような、のびたトレーナーにジーパン。 「俺がスーツ着たとき、てめぇが『どこのマフィアですか』とか言ったんだろうが!」  責めるような視線を向けるカオルに、顔を真っ赤にしたエジーディオは反論した。 「そうだそうだー。エジーが顔悪いのはエジーのせいじゃないぞー」  間延びした声でニコがエジーを応援する。しかし途中の一言は絶対聞き捨てならない。 「ちょっと待てニコ! 俺の顔は『悪い』んじゃなくて『怖い』んだ!」 「エジー、それ、自分で言ってて悲しくなりませんか」 「……ちょっとな」  
/214ページ

最初のコメントを投稿しよう!

579人が本棚に入れています
本棚に追加