Act.1 三人の泥棒

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   カオルは満面の笑みでうなずいた。 「はい、解ってるんなら分かれても問題ないですね。じゃ、中で合流しましょう」  白い絹の手袋をはめながら、カオル。エジーディオもうなずく。 「わかった。んじゃ俺は裏口から行く」 「おっけー」  ニコが親指と人差し指でまるを作った。 「私は正面からです。ブルドックさんに協力してもらいますよ」  にやりと口の端を引き上げてカオルが言う。 「了解」  ニコは敬礼した。  そして真面目な顔で言う。 「僕は作戦Zで」  一瞬流れに任せてうなずきかけたエジーディオとカオルは、ふとニコを振り返った。 「作戦Z?」  そんな作戦はたてた覚えがない。 「……車で待機」  ぐ、と親指をたてて、ニコは得意そうに言った。  カオルが問答無用でニコの首根っこをひっつかむ。エジーディオに押し付けた。 「じゃ、エジー、こいつのお守もお願いします」 「ええっ、俺かよ、やだよカオル連れてけよ」 「私だって嫌ですよ。こんなの正面から入れると思ってんですか」 「だから僕車で待ってるってばー」  こんなの呼ばわりされたニコは、口を膨らませて不平をもらす。けれどそんなニコは無視された。舌打ちしたエジーディオが、仕方なさそうにカオルからニコを引き取る。 「ちっ、しゃあねぇな。こんなのでも盾ぐらいにはなるだろ。おら行くぞニコ」 「あのねぇ……エジーでかいんだから、僕盾にしてもはみでるよ? だから僕車で……」 「中に着いたら従業員通路の入口で落ち合いましょう」 「了解」 「…ねぇ、僕の話聞いてる?」  ニコの問いかけに、エジーディオとカオルは同時に振り向き、口を合わせて言った。 「「聞いてねぇよ」」  ニコがぶーと唾を飛ばした。    
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