Act.1 三人の泥棒

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   警備員の一人が近づいてきた。 「失礼。コンサートのチケットを、確認させていただけますか?」  慇懃な態度で警備員。  マダム・ブルドックは、小さいが宝石がじゃらじゃらついて重そうなハンドバックから、今夜のコンサートのチケットを出した。警備員に見せる。  警備員はそれを受け取り、うなずく。次いでうながすようにカオルを見た。  カオルは懐に手をやった。しかし、あれ、といえ顔をしてぱたぱたと服を叩く。今度は青ざめた顔をして、ポケットの中身をひっくり返した。  天を仰ぐ。 「ああ、なんてことだろう! マダム、どうやら私は、コンサートのチケットを、家のテーブルの上に忘れて来てしまったようです!」  大げさな身振りを加えて、マダム・ブルドックに訴えた。  
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