Act.1 三人の泥棒

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    「エジーディオ、僕らって運がいいね」  小声でニコが言った。  彼らの境遇には同情するが、エジーディオもニコの言葉に同意する。 「神のご加護だ」  胸にぶらさげていた、焦げた十字架で祈りをささげた。  ニコがだらだらと腕まくりする。 「じゃ、あいつらの嫌ぁな仕事、僕らが代わりにやってあげよーかー」  年輩の運び屋が、ロックを解除したのを見計らって、エジーディオとニコは後ろから二人に襲いかかった。  若い方がみぞおちにニコの拳を喰らって、短い悲鳴をあげる。驚いて振り向いた年輩の運び屋に向かって、エジーディオが組んだ両腕を、頭上から振り落とした。  声もなく、運び屋は意識を失う。 「ごめんねー、ちょっくら服もいただいちゃいまぁす」  殴った拳をヒラヒラさせたニコが、言った。  運び屋に変装すれば、ホテル内を堂々と歩けるだろう。早速ニコは、若い方の作業着を脱がしにかかる。  きびきびと着替えるニコを尻目に、エジーディオはちょっとためらった。 「なぁ、その親父、明らかに俺よりちっさいんだけど?」 「ないものねだりはよくないよ、エジー」  ニコは容赦がなかった。    
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