Act.1 三人の泥棒

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   そう、一見、見た目も人種も年さえばらばらだが、実は彼らは仕事仲間だった。  エジーディオの運転する車で、三人仲良く仕事先に向かっている途中だ。  車内は無言。エンジンが響かせる重低音に、カーラジオから流れ出す、スローテンポの曲がかぶさる。  カオルがふと雑誌から視線をあげ、ラジオのスピーカーに目をやった。  手を伸ばして、ボリュームを大きくする。  高く澄んだ少女の歌声が、ラジオのスピーカーから流れ出し、車内を満たした。    メアリーは窓のそば  今日もまちぼうけ  冷たくなった  ストレート・ティーと  編みかけのマフラー  椅子の上に置いて  丘の向こうを見つめる    機械を通して歌う、少女のメゾ・ソプラノは、少し掠れて聞こえた。歌声は、どこまでも透明。昨今流行の、色っぽい女性シンガーと比べれば、濁った泥水と澄んだ清水といったところか。  窓の外を流れる、けばけばしいネオンの灯りを見やって、この街には少々不釣り合いなBGMだな、とエジーディオは思った。  表のきらびやかさの中に、欲望で黒く染めた腹を隠す。それがウェノビアだ。裏も表もないほど透明な少女の歌は、蜃気楼みたいに浮いて聞こえた。    丘の上にいつか  彼の影が立ちやしないかと  叶うわけのない願いを胸に  メアリーは今日もまちぼうけ  着る人のないマフラーを編む  
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