Act.1 三人の泥棒

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   エジーディオの車は、ホテル前の通りに止まっていた。路肩に止められた、シャープなラインの黒い車を、街灯の光が照らしている。 「さて、では行きますか」  スーツのネクタイを締め直して、カオルが車のドアに手をかけた。 「おら。夢の時間はもう終わりだ、行くぞ、ニコ」  ニコはシートの間でふやけた寒天みたいになっていた。エジーディオが彼の首根っこを掴んで、起き上がらせる。  ニコはうなった。 「うーん、エジーの乱暴な運転で、頭打った。僕もうだめ。カオルとエジーだけで行ってきて」 「安心なさい、手負いの貴方を置いて行くもんですか。私達はいつでも一緒です」  口では優しいことを言っているが、要するに「てめぇだけ楽はさせねぇ」という意味だ。  後部座席に逃げ込もうとするニコを、カオルがひっ捕らえた。そのままニコの脇に手を入れて、助手席から引っ張り出そうとする。ニコがやる気のない悲鳴をあげた。 「きゃー、いやー、やめてー、助けてエジー、カオルがケダモノにー、襲われるー」 「ばっ、お前らこんな狭いところで暴れるなっ」  逃げようともがくニコにひっかかれて、エジーディオは怒鳴る。しかし暴れる二人は止まらない。 「気色悪いこと言わないでくださいっ」 「いやん、ばかん、そんなトコ触らないでー」 「あほですか!」  逃げようともがくニコと、そんなニコを引っ張り出そうとするカオルとで格闘になった。どさくさで、ニコの足がクラクションを踏む。  
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