プロローグ

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夢を見ていた。 朝靄のなか、静かに振り向く少年の口元からこぼれる白い歯がまぶしい。 「誰?!誰なの!」 叫んでも声がでない、走りだそうとして目が覚めた… 「またか~、なんなんだろう。」 眠気の醒めないボーッとした頭をクシャクシャとかきむしる。 こうして始まるのがこの物語の主人公、水樹の何時もの朝だ。 何時もの夢、大体いつ頃から見始めたのかさえ、覚えていないくらい小さな頃から繰り返し見る夢。 ノロノロと起き上がり仕方無さそうに学校へ行く支度を始める。 鏡の中には、栗色の巻き毛、長い睫毛に縁取られた薄茶色の瞳が、写っている。 今年、16才になる高校一年生。成績、極普通。彼氏いない歴、16年。 「よしっ!準備オッケー!完璧。」
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