プロローグ

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学校までは、徒歩で10分の距離、水樹は、全速力で走り出した。 ようやく学校の前の信号までたどり着き一息つく。 信号は、赤だった。 「もう!こんな時に!あと一回遅刻したら父兄呼び出しだよ。」 イライラしながら信号が変わるのを待っていた時、突然、地面が揺れた。 「きゃーっ!」 思わず頭を抱えて、うずくまったところで揺れが止まった。 「はーっ良かった。」 と立ち上がると目の前にワゴン車が、急ブレーキの音も盛大に水樹めがけて突進してくるのが見えた。 一瞬の出来事だった。 意識を手離す刹那、何故か水樹の脳裏にあの少年の笑顔が浮かんでいた。 今朝夢で見たばかりだったからかな、薄れ行く意識の中で少年は、少し悲し気に水樹を見つめていた。
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