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「お前なあ、二年になったんだからもう少ししっかりしろよ。」
「先生は二年になったらしっかりしたの?」
気になって聞いてみたら先生はふと目を逸らして「あ、あああ当たり前だろ!」と。先生、どもりすぎ。声ひっくり返ってるよ。笑う僕を先生はちらりと見て苦笑。昔を思い出したんだろう。少し遠い目をしている。面白い先生だ。
この先生はなかなか好き。偉そうじゃ無いし。尊敬出来るかと言えば否だけど、それでも何かあったら相談してもいいかな、と思える。いい人。うん、いい人なんだよね。
「どうした?」
「いや、いい人だな、と思ってさ。」
笑って言えば先生は顔をしかめた。褒めたつもりだったんだけれど。教室の前について、立ち止まった先生を覗き込めば先生は僕の肩を掴んで泣きそうな顔をしている。え、僕変な事言った?え、え、と慌てる僕に先生は大きく溜息をついて。
「俺さ、こないだそう言われて振られたんだよな…。」
「…先生、ごめんね…。」
「いや、お前は悪く無いんだけどな?
いい人って褒め言葉じゃん、なんでそれで俺振られたんだよ。いい人なんだけど…ってなんだよ畜生。俺ってそんなに駄目?」
「い、いや、きっとその人の見る目が無かったんだよ!そんなに落ち込まないで先生!」
どうやら地雷だったらしい。
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