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先生を励ましていたらチャイムがなった。先生はハッと顔を上げると僕を見て「すまん!ありがとうな!」と笑って。やっぱり先生っぽくないな。生徒に恋愛相談しちゃうし。
黒板に貼ってあった紙を見て席を確認してからその場所に座れば、前に座っていた奴が振り返った。そいつは一年の時から同じクラスでいつも一緒にいた奴。
ちょこちょこと髪の色を変えては僕を驚かせていた。どうやら今回はピンク色にしたらしい。なんてファンキーな。校則が緩いとはいえこんなやる奴はそんなにいないだろう。
名前は和樹。名字はなんだったかな。なんでもいいか。和樹は片手を上げてにんまりと笑った。
「や、おひさ。」
「久し振り。また染めたの?」
「いーっしょ?かわい?」
「将来確実にハゲるね。」
にんまりと笑い返してやれば「なんて事言うのさ!」と頭を押さえて騒ぐ和樹。その片手には携帯電話。常に持ってる。風呂にも持っていくらしい。…壊れないのかな。
騒ぐ和樹にそんな事を思いながらハゲハゲ言っていたら先生に怒られた。そういえばもうホームルーム始まってたんだっけ。先生が黒板に名前やら色々書いている。
「ついでに独身だ。こないだ振られたしな!」
書き終わった先生の言葉に教室がドッと笑う。あれだけ落ち込んでいたのに笑い話に出来るとは凄いな。これが大人ってやつなんだろうな、と妙に納得してしまった。
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