ハジマリの夏

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    「唯華、今日は一段と楽しそうね」   夕食を食べていると、おばあちゃんにそう言われた。   「そう?」私が首をかしげると、肯定して好きな人でもできたのと聞いてきた。その時、ふと浮かんだのは栄口クンだった。   「好き…っていうか。気になるっていうか…」 私は顔を赤くして正直に答えてみた。   「まぁ、素敵ねぇ。唯華が幸せそうでなによりだわ。今度、おばあちゃんにもどんな人か教えてね」   おばあちゃんはそう言ってコロコロと上品に笑った。その笑顔を見て、あぁ、私は幸せ者なんだなぁと思った。   いきなり現れても迷惑な顔ひとつせず迎えてくれた栄口クンの家の人々、おばあちゃんでお母さんでお友達なおばあちゃん、優しい笑顔を教えてくれる栄口クンと、私はもっとずっと一緒にいたいなぁと思ったんだ。
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