聞かざる

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ある日頭の中で声がした。 どこかで聞いたような幼い声だ。   『お前が今していることはホントに正しいことなのか?正義なのか?悪なのか?』   あまりにも話しかけてくるので適当に返してやる。   「うるさいな。俺は正義のために剣を奮っているんだ。悪なはずはない。」   『疑ったこともない正義なのにか?』     うるさいうるさい。     俺は声を無視することにした。 するとしばらくは何度か語りかけてきた声も、とうとう聞こえなくなった。   今は静寂。 何の問いかけもなし。   それが幼い頃の自分の声だったことに気づいたのは、ずっと後の話し―――
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