私の願望

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 今日の空模様は少しよくないみたい。一応傘は職場に一本置いてあるからいいかな。見上げた空は都会特有のスモッグに覆われている少し明るいようで暗い曇りガラスみたいだった。  変わらない足取りで駅に着くと、いつものように売店で新聞を買う。また、くだらない記事ばかり載ってる。ただ、最近のマスコミは何かと自殺だとかいじめだとか扱うのが好きなんだな、とかも思ってしまう。  私は自殺願望はないけど……うん。殺して欲しいと思う。  もちろんスグルに。それが私の願望。そして私の欲望。狂気。 『まもなく、2番線に……』  眠たげなアナウンスと重なって、快速列車がホームを駆け抜けていく。はずだった。 「え……?」  隣にいたサラリーマンがふらふらとホームの先へと歩いていく。もちろんその先は線路だ。サラリーマンが線路へ落ちたその一瞬後に、私の視界に紅い花が咲いた。  すぐに電車は停まり、駅は騒がしくなって、私は自分に着いた他人の血にどこか恍惚とした感情を抱いていた。
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